
Webサイトの表示速度は、ユーザー体験とSEOの両方に大きな影響を与えます。その中でも画像ファイルの最適化は非常に重要な要素です。今回は、Googleが開発した次世代画像フォーマット「WebP」について詳しく解説します。JPEGやPNGと比較しながら、WebPの特徴やメリット、使い方までを徹底的に掘り下げていきましょう。
目次
WebPとは?基本的な概要と歴史
WebP(ウェッピー)は、2010年にGoogleによって開発された画像フォーマットです。ウェブでの使用に特化して設計されており、高い圧縮率と画質の両立を目指しています。
WebPの開発は元々、ウェブビデオコーデックのVP8をベースにしており、当初は「lossy WebP」と呼ばれる非可逆圧縮のみをサポートしていました。その後、2011年には透過性(アルファチャンネル)と可逆圧縮をサポートするバージョンがリリースされ、より多目的に使用できるようになりました。
ファイル拡張子は「.webp」で、現在では主要なブラウザのほとんどがWebPをサポートしています。
WebPの主な特徴と従来フォーマットとの違い
圧縮方式
WebPは以下の2つの圧縮方式をサポートしています。
- 非可逆圧縮(Lossy): JPEGのような非可逆圧縮で、人間の目には認識しにくい情報を削減することでファイルサイズを小さくします。
- 可逆圧縮(Lossless): PNGのような可逆圧縮で、画質を一切損なわずに圧縮を行います。
JPEGとの比較
JPEGは長年ウェブ上で写真やリアルな画像の標準として使用されてきました。WebPとJPEGを比較すると
- ファイルサイズ: 同等の画質でWebPはJPEGより約25〜35%小さいファイルサイズを実現
- 圧縮方法: 両方とも非可逆圧縮を使用
- 透過性: JPEGは透過をサポートしていないが、WebPはサポート
- アニメーション: JPEGはサポートしていないが、WebPはサポート
PNGとの比較
PNGはグラフィックやロゴなど、シャープな線や透明度が必要な画像に適しています。
- ファイルサイズ: 同等の画質でWebPはPNGより約26%小さいファイルサイズを実現
- 圧縮方法: 両方とも可逆圧縮をサポート
- 透過性: 両方ともサポート
- 色深度: 両方とも24ビットカラーをサポート
GIFとの比較
GIFはアニメーション画像で広く使われています。
- ファイルサイズ: WebPはGIFより大幅に小さいファイルサイズを実現
- アニメーション: 両方ともサポート
- 色数: GIFは256色に制限されるが、WebPは1677万色をサポート
WebP導入のメリット
1. ページ読み込み速度の向上
WebPの最大のメリットは、ファイルサイズの削減によるページ読み込み速度の向上です。Googleの調査によると、WebPへの移行により平均で30%のファイルサイズ削減が可能とされています。ページ読み込み速度は、直接的にユーザー体験に影響し、間接的にSEOにも影響を与えます。
2. 帯域幅の節約
特にモバイルユーザーにとって、データ通信量の削減は重要な要素です。WebPを導入することで、ユーザーの通信データ量を削減できるだけでなく、サーバー側の帯域幅コストも削減できます。
3. 画質と圧縮率のバランス
WebPは高い圧縮率を保ちながらも、視覚的な品質を維持することができます。特に写真のような複雑な画像では、同じファイルサイズでJPEGよりも高い画質を実現することが可能です。
4. 透明度とアニメーションのサポート
WebPは透明度(アルファチャンネル)とアニメーションの両方をサポートしており、これまでPNGとGIFに分けて使用していた場面でも1つのフォーマットで対応できるようになります。
5. SEOへの好影響
Googleは公式にページ速度をランキング要因の一つとして認めています。特に「Core Web Vitals」の指標では、画像の読み込み速度が「Largest Contentful Paint (LCP)」の改善に直接関わってきます。WebPの導入によりこれらの指標を改善することができ、結果的にSEOにプラスの影響を与える可能性があります。
WebPのデメリットと注意点
1. ブラウザの互換性
WebPは現在、Google Chrome、Firefox、Edge、Operaなどの主要ブラウザでサポートされていますが、古いブラウザでは対応していない場合があります。特に古いバージョンのInternet Explorerでは表示されません。
2. 編集のしにくさ
WebPは一般的な画像編集ソフトでのサポートがまだ限定的です。Adobe Photoshopはプラグインによるサポートがありますが、多くの画像編集ソフトではネイティブサポートがありません。
3. 処理負荷
WebPへの変換やデコードは、JPEGやPNGと比較して若干CPU負荷が高い傾向があります。ただし、近年のデバイスではほとんど問題にならないレベルです。
WebPの使い方と変換方法
画像を WebP に変換する方法
オンラインツール
WebP変換を簡単に行えるオンラインツールがいくつか存在します。
- Squoosh(Google製)
- Convertio
- Cloudconvert
画像編集ソフト
- Adobe Photoshop(プラグイン必要)
- GIMP(ネイティブサポート)
- XnConvert
WordPressでのWebP導入方法
WordPressでWebPを導入するには、いくつかの方法があります。
- プラグインを使用する
- CDNを利用する
- Cloudflare
- Cloudinary
- BunnyCDN
フォールバック対策
すべてのブラウザがWebPをサポートしているわけではないため、フォールバック対策が必要です。
<picture>
<source srcset="image.webp" type="image/webp">
<img src="image.jpg" alt="画像の説明">
</picture>
この方法により、WebPをサポートするブラウザではWebP画像が、サポートしないブラウザではJPEG画像が表示されます。
実際の導入事例と効果
中小規模サイトでの導入効果
実際の中小規模サイトでも、WebP導入による効果は顕著です。
- あるECサイトでは、WebP導入により画像ファイルサイズが平均30%減少し、ページ読み込み時間が1.5秒短縮
- メディアサイトでは、WebP導入と合わせた最適化により、Core Web Vitalsのスコアが「Poor」から「Good」に改善
まとめ:WebPは導入すべきか?
WebPは高い圧縮率と画質のバランスが取れた、現代のウェブに最適な画像フォーマットです。特にページ速度の最適化を図りたいサイト運営者にとって、WebPの導入は検討の価値があります。
ただし、すべてのユースケースに最適というわけではなく、特に古いブラウザのサポートやワークフローの変更が必要になる点は考慮すべきです。ブラウザの互換性については、適切なフォールバックを設定することで対応可能です。
最終的には、自社サイトの要件や対象ユーザーに合わせて判断することが重要ですが、ウェブの未来を見据えると、WebPへの移行は前向きに検討すべき選択肢と言えるでしょう。
今後もAVIF、JPEGXLなど新しい画像フォーマットが登場してくる可能性がありますが、現時点でのブラウザサポート状況とパフォーマンスを考慮すると、WebPは最も実用的な次世代画像フォーマットと言えます。
よくある質問(FAQ)
Q: WebPの発音は?
A: 「ウェッピー」と発音します。
Q: WebPはすべてのブラウザで表示できますか?
A: 2023年時点で、Chrome、Firefox、Edge、Safariなど主要ブラウザではサポートされていますが、一部の古いブラウザでは表示されません。適切なフォールバック対策が必要です。
Q: WebPに変換すると画質は下がりますか?
A: 非可逆圧縮を使う場合は若干の画質低下がありますが、同じファイルサイズのJPEGと比較すると一般的に画質は優れています。可逆圧縮を使えば画質の低下はありません。
Q: スマートフォンでもWebPは問題なく表示できますか?
A: 最新のiOSとAndroidのブラウザではWebPがサポートされているため、問題なく表示できます。